本屋さんへよく行かれる方ならばご存じだと思いますが、本屋の店頭にIFRS関連の書籍が多数並んでいます。もう10年くらい前から会計基準の大改正や法規の改正や新法の制定等が相次ぎ、我々会計士業界ほか会計経理関係の方々など皆うんざりするほど次から次へと新しい制度について本が世に出回りました。つい最近では、「内部統制報告制度」の新設で実務会等は大いに揺れました。
これについておかしな話を聞いたことがあります。ある会社が内部統制報告制度にしっかり対処すべく、人員を整え必要なマニュアルや制度をしっかり整備し、これなら監査法人に対して胸を張れるだろうというところまでしっかりやりました。ところが、社長が監査法人の役員に対し、「どうですか?うちの対処は万全でしょう?」と話しかけたところ、「いえいえ、まだまだです。次はこんな所も整備しなければならないんですよ。」と監査法人から切り返されて、「だったら、何故最初からそのことにも触れないのですか?」と怒り心頭だったとか。この出し惜しみならぬ出し抜けが本当だとすれば、これは制度を作ったあるいはアドバイスする側に儲けさせるだけの、新制度のもらたす悪い側面ばかりが取り上げられかねないです。
今度のIFRSは、基本的には枠組みのみが記されている部分が多いので、実際の運用面ではどうするかというところはこれからの実務者レベルの取扱要領やケーススタディなどの公表を待たなければならないでしょう。しかし、これらがいたずらに会計担当者サイドを煩わせるだけの側面が大きければ大きいほど、いったい新制度とは何なのだろう、ということになってしまいます。IFRSとはいったい何なのか。なぜIFRSの導入なのか?をよくよく考えなければなりません。
今日は、久しぶりに少し政治の問題に触れてみたい。4億円の土地取引問題をめぐって、民主党小沢幹事長の政策秘書らが逮捕され、小沢氏への追求が厳しくなっている。国会は通常国会開幕早々小沢氏の疑惑追及と首相の責任問題が焦点となり、またかという感じだ。いつになったら、今後の日本の長期的問題についての政策審議がなされるのか?自民党も民主党も夏の参議院選挙の勝利しか、頭にないのだろう。
私は、小沢氏の問題は実力ある政治家にとって日常茶飯事的出来事なのではないかと思っている。何かの圧力で、時の政治家がこの手の問題でたたかれるのではないか。田中角栄氏や竹下登氏・そして金丸新氏らがそうだったように。もちろんこれを全く問題なし、ともろ手を挙げて肯定するわけではないが。
一方、グーグルが中国から撤退するとの報道も大々的に取り上げられている。詳しくは分からないが、どうやら中国政府がグーグルのサイトに対して違法に検閲をしている、といういことらしい。これに対して、アメリカ政府がこれを止めよ、と忠告しているようだ。これは、米国vs中国の図式だ。私は、各種の本などで2010年は世界的転機となる年になる、と言われているように今年は世界の覇権がアメリカから中国へ転換する転機の年になるような気がしている。
小沢氏への検察の捜査強化も、その流れの一環なのではないかと思える。つまり、小沢氏は昨年民主党新人議員など160名を連ねて中国の胡錦濤国家主席を表敬訪問した。また、副主席を日本に招き天皇陛下と会談させたのも、小沢氏の意向だったのではないかと言われた。これら中国への異常なほどのシフトと普天間基地問題で解決の意図さえ見えないほど低下したアメリカへの態度と比べて、あまりにもひどい違いだ。これに対して、アジア地域をけん制するうえで重要な日米同盟を重視するアメリカが、怒り狂っていることは想像に難しくないと思う。
アメリカと日本の検察がつながっているかどうかは私にはわからないが、そのように指摘する評論家もいて、そうかもしれないと思える事柄も思いつく。今、日本のマスコミ(テレビや新聞など)は、民主党政権の中国シフトや小沢問題を盛んにたたいたり問題視する論調が目立つ。確かにその通りかもしれないとも思うが、私はもう少し冷静に見ていきたいと思っている。すなわち、本当に民主党政権がいたずらにアメリカを刺激しているだけなのか、何の戦略もなく中国へシフトしているのか?もっと言えば、小沢氏の根底にあるこれからの日本の未来を見据えた何か一本のマイルストーンがあるのかもしれない、という期待をしてみたいと思っている。はかない期待かもしれないが、今強力な指導者と言える政治家はやはり、小沢一郎しかいないからだ。
謹賀新年
皆様、新年明けましておめでとうございます。今年も皆様にささやかな情報等をお届けして参りますので、福地のブログをどうぞよろしくお願いいたします。また、お客さま方には福地公認会計士事務所を引き続きお引立ていただけますよう、お願い申し上げます。
さて、新年と言えば年賀状。最近年々年賀状というはがきツールが減って、e-mailでの年賀挨拶などに変わってきている気がいたします。そして、そもそも年賀の挨拶を省略されている方々も多くなってきているような気がします。皆さんもそうお感じになりませんか?それでは、何故年賀状が敬遠されるようになってきたのでしょうか?資源の無駄を止めるべき・義理強制年賀状の削減・時代の変化(e-mailへの移行?)・古き良き日本の文化伝統の排除、など、いくつか言われていることがあります。私はどれが当てはまっているのかはわかりませんが、年に一度くらいご無沙汰している方への紙面によるごあいさつ伺いとして、年賀状は日本の良き文化伝統だと思います。これが縮小して行くのは、少々寂しい気がいたします。
最近見た本に、日本人はルールに弱い、というのがありました。私は、日本人はルールを守ろうとする気持ちがかなり強い民族なのではないかと思います。だから、ルールを順守するのは得意だがルール変更に対しては鈍感で対応が遅れる。一方で、ルール変更に対して変な懐疑心も持ってしまうことも。たとえば、オリンピックなどスポーツの世界で、日本人が活躍していた種目がルール変更されてダメになると、日本人が標的にされてルール変更がなされた、と思い込みがちである、と。これはマスコミがそのように流しているのかもしれませんが。しかし、これは全くの思い違いであり、ルール変更はある一定の理論的根拠の元に変更されているそうで、いずれも選手や種目の総合的な公平性や身体的側面を考えてなされていることを、日本人はもっと知るべきである、とその本は説いておりました。私はそんなことは分かっている、という方もおられることでしょう。詳細は、その手の本やインターネットに譲ります。
我々の業界でも、会計基準がIFRSという国際基準に統一されようとしています。これは、今までの日本の会計基準やルールとはかなり違っており、大企業でも移行はスムーズには行かないでしょう。これについて、同じ会計士業界やその他業界団体などから「IFRSは欧州基準であり、世界の会計ルールは欧州の力に屈してしまったため、日本も同様に欧州基準に従わざるを得ない。今までの日本の会計基準やルールを捨ててしまってどうするのか。そんな理不尽なことがあってよいのか?」といった声が聞こえています。しかし、これについてもただ単に流れに反対するのではなくて、どうしてこのようなルール改正や統一の流れになってきたのかについて、全体を理解することが重要だと思えます。
大きな流れを理解して、そこから必要なルール作りを考える。日本人に欠けている「世界に対してどのように発信し、日本の良いところをどうアピールしていくか。」が今後非常に重要になってくる、2010年はそのスタートの年になってくれればよいと思います。 そして、我々会計士はその本質や流れをわかりやすく皆様にお伝えしていかなければならないと思っております。
年初から少々小難しい話になってしまいましたが、皆さまにとって良い一年となりますようお祈り申し上げます。