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公認会計士 福地徳恭

税理士逮捕!

先週、東京のとある税理士が逮捕されたという。逮捕容疑は、税理士資格停止処分中に税理士業務を行った罪だという。いわゆる、税理士法違反による逮捕だ。税理士が逮捕されるとか検察庁に告発されるというのは、まれといえばまれだ。この税理士の場合、すでに自身の税務申告で相当額の脱税を指摘されそこでは税理士資格停止処分までだった。それに懲りずに、さらに親戚の弁護士を利用して税理士業務を続けていたことが税務署にばれたのだという。

私は今回のケースを受けて、私なりに逮捕される税理士というものを分析してみたい。

まず第一に、税理士が自分の申告をごまかして脱税し、それが見つかった場合に予測される法律違反の逮捕の問題。税理士は通常、公平公正な立場から納税者の代理となり節税のアドバイスはしても脱税指南はしてはならない。ましてや、自身の申告をごまかすならば業務上の信頼はなくなる。したがって、ほとんどの税理士は自分の申告はまともにやっているはずである。ただし、多少のグレーゾーンに入り込んで処理しているケースは考えられ、それを税務調査等で指摘されれば議論の末にある程度の追加納税が発生する可能性はある。これは逮捕という点に関しては全く問題にならないのは言うまでもない。それでは逮捕されるほどのケースとはどういう場合なのだろうか?おそらく、明らかに悪質な脱税行為を行っていて、追徴税額が〇千万円とかの場合であろう。ちなみに、上記税理士のケースでは、自身の相続税申告で多額の所得を隠し数千万円の追徴税額が出た模様。それでも、その時は逮捕されなかったようなので、逮捕されるにはさらに税務調査を妨害したり調査に対し紳士的に応じなかったなどの追加的要素が必要なのだろうか?

第二に、運良く資格停止処分で済んだのに、なぜ親戚の弁護士を使ってまで更なる違反に及んだのか。税理士の人間心理の面を問いたい。私が思う普通の税理士だったら、万一所得漏れを指摘され一税理士として大変恥ずかしい思いをして追徴され、資格停止処分にも耐えがたきを耐え従ったのならば、ここはその資格停止処分中は少なくとも税理士業務を実質的に自ら行おうとはしないだろう。この税理士曰く、「生活のためにやった。顧問先を失いたくなかった。」。気持ちは私も十分にわかるのだが、事態の大きさに気づくべきであり、いったん顧問先を信頼できる仲間の税理士に引き継いでもらうなどの方法を取れなかったのだろうか?その顧問先を資格復帰後に取り戻せるかどうかは、自分の今までの功績がどのくらい顧問先に認められていたかどうかが問われるわけであるが・・・。

第三に、なぜいとも簡単に資格停止中の業務が見つかってしまったのか?こういうと誤解が生じるかもしれないが、「見つからないようにうまくやれよ!」とあからさまに言っているのではない。過去に逮捕された税理士の話を聞くと、どうも見え見えの脱税を行っていた感じがするので、逮捕される税理士たちにはどうも「俺は絶対捕まらない、ばれない。」という驕りがあるように思えてならない。今回の税理士も、脱税時には資格停止処分まで受けながら逮捕はされなかったわけで、「資格停止など形だけのもの。形式だけ整えておけばばれないし逮捕などされない。」という強い思い込みがあったのではないか。

さて、以上のことをまとめてみますと、逮捕までされてしまう税理士たちに共通しているのが、

  • 自分は税金は極力払いたくない。見え見えでごまかしてしまおう。浅はかである。
  • 自分には自信がある。税務職員など俺にかなわないと蔑んでいる。態度が傲慢である。
  • 自分だけはばれない。調査は絶対来ないし逮捕などされるわけがない。勘違いもはなはだしい。

以上の3点ではないか。全く信じられない人たちだ。

あともうちょっと付け加えると、同業者や友人からの人望がなく、ケチである。これは、私の勝手な想像ということにしていただきたいが。

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