福地公認会計士事務所

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公認会計士 福地徳恭

このままではジリ貧になる

緊急事態宣言が東京都や大阪府などで5月末まで延長された。4月25日から飲食店は酒の提供ができなくなり、居酒屋やすし店などは営業を続けられなくなっている。多くの飲食店にとって今年の1月からほとんど20時までの時短営業を強いられ、さらにこの追い打ちで死に体にとどめの一撃を加えられており、私が贔屓にしている店もやむなく休業しているところが増えてきた。店をたたむところも多いようで、街を歩いていると閉店してしまった飲食店をずいぶんと見かけるようになった。
許せないのが、政治の姿勢である。小池都知事が「都の財政が厳しくなってきており、今後協力金の規模を縮小しなければならない。国がきちんと自治体に対して財政の手当てをしてもらわないといけない。」というような発言をしていた。ちょっと待ってほしい。それならば、国に対して財政出動を求めて了解を得てから地方自治体は緊急事態宣言を求めるべきではないか。規制を先にするとは何事だろうか。営業の自由を奪っておいて、補償はそんなにできません、国が手当てをするべきで都の責任ではありません、ではとても都民に寄り添う地方自治体のリーダーとはいいがたい。
しかもこの方、横文字がお好きなようで、今度は「ワクチンは「ゲームチェンジ」に必要なツールである」てなことを昨日おっしゃっていた。私に言わせれば、コロナ騒動は「ゲーム」(遊び)じゃないだろう、という怒りが噴出してしまった。
それにしても、国の出し渋りは酷い。菅政権になってから、昨年4~5月で大規模な財政出動を行った反省からか、二度とそのような支出は国として行わないぞ、という姿勢丸出しである。国民を見殺しにしても、財政規律を重視し、PBバランス黒字化などというおかしな目標を取り下げようとしないのは完全に異常である。しかし、ほとんどの国民は、国の財源には限界があり、国の財政がもたないのでこれ以上の財政支出は望めないだろうということを肯定しているように思える。我々の同業者さえ、同じことをおっしゃる方が結構いるのである。その度に私は、日本国には財源に限度は無い、少なくともインフレ率に縛られる以外においては、貨幣を発行できる主権国であるから、財政についての問題は存在しないのだというMMT(現代貨幣理論)の正当性を主張する。この、自国の貨幣発行主権を持つ国においての財政破綻はあり得ない、デフレ時には積極的に財政出動を行い、国民に貨幣を配り需要を喚起し適正なインフレ率となるように誘導することが重要であるという考えを、多くの日本国民が持たない限り、日本はコロナ禍がこの後長く続いてジリ貧になってしまう。
以上については、三橋貴明氏や藤井聡氏などが永年主張されていることのようであるが、私も彼らの意見に基本的に賛成である。まずは、会計専門家である我々会計士税理士からこの基本的考えを理解し、顧問先や講演先などで広めていくべきであると私は考えている。手遅れになる前に、何とかしなければならない。

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