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公認会計士 福地徳恭

正月のJAL航空機事故はもっと騒がれるべきだ

もう1か月前になってしまったが、能登の地震の翌日に起きた羽田の航空機事故も衝撃的であった。しかし、その後の報道によるとわずか18分間の間に乗員乗客全員が無事避難したのは奇跡的であったという。乗員のうちCA9名がおり、うち4名が経験の浅いCAだったということだが、他の乗員と協力し冷静に対応したらしい。避難脱出口はその航空機に6か所あるらしいが、火災の発生状況を見て冷静にどこをオープンにしてどのように避難させるかを短時間に判断された。また、後方のCAは機長とのコミュニケーションがうまく取れず、スロープが地面に着地しない可能性があり後方の脱出口を開けて避難させるべきか、最終的には自身で判断せざるを得なかった。判断の結論はオープンで、脱出した乗客や地上救命員らの手助けもあり、脱出させたことが正解であった。こんな素晴らしい連携があったわけで、普段の訓練をいかに真剣に行っていたかということと究極の実戦で冷静沈着に対応された乗員全員には、拍手喝采である。この乗員たち全員の行動には、そのことがもっともっと賞賛報道されるべきだし、国から表彰されるべきではないだろうか。
それにしても、奇跡が起きてJAL機に1人も亡くなった方がいないということで、ああ良かった、で片づけられる問題ではない。海上保安庁の飛行機の乗員は5名の貴重な人命を失っている。つまり、肝心の別の視点が全くと言っていいほど検討されていないし、あまり報道されていないのではないか。最近お手柄が多い「週刊文春」で記事になっていたが、羽田の過密ダイヤによる航空機の増便に対して、発着陸をコントロールする航空管制官の人員が全く増えていないという。羽田空港にはAからDの4本の滑走路があり、D滑走路は何年か前に新設されたそうだ。そして、複数ある場合の滑走路の運用は通常、離陸か着陸かの専用路になるのだそうだ。しかし、C滑走路だけは離着陸の両方で運用されているという。今回の事故は、そのC滑走路で起きた。記事で発言している管制官も「C滑走路」は何度かヒヤリがあったとコメントしている。つまり、一つの滑走路に離着陸の両方があると、管制官も両方に気を使わなければならず(しかも2分に1機の割合で離着陸がある混雑ぶり)、管制官が複数でチェックしないと危ないのだと思われる。
それではなぜ、管制官を増やさないのか。いわゆる、国の財源がない、とのことで公務員を減らしていることが、この空港行政にも及んでいるわけだ。やはりすべての悪の根源は、「国の借金が増えすぎている、将来の子孫に負の遺産を残してはならない。だから、財政健全化だ。プライマリーバランス黒字化は、絶対に必要だ。」の財務省が先導する骨太の?方針がすべてではないか。この国は、これにとらわれる限り、滅亡への道をひた走るしかないように思う。あまりにもつらい。

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