適正意見を急がずとも・・・
監査業務について、久しぶりに書き込みます。
先日、ある外資系企業から監査業務の依頼がありました。依頼内容は、短期間に監査を行って「適正意見」が欲しい、という虫のいいお話。監査についてよく知らない経営者の方が昔はよく口にしていた話なのですが、最近は会計監査が結構メジャーになってきたのかあまり聞かされなくなってきていたのですが。
どういう理由で会計監査が必要なのか尋ねたところ、将来会社を売りに出すかあるいは株式公開をする予定なので、早めに会計監査を入れて適正意見をもらうことが企業の価値を高めるだろうから、というものでした。私は、公開を視野に入れているならば来年に向けてきっちりと監査を受け入れる準備を行い、今年は監査をすべきではない、と断りました。第一、適正意見など急な監査で出るわけがありません。無理に監査をすることが逆に将来的に首を絞める結果にならないとも限りませんから。
このブログをお読みになられている賢明な社長様はお分かりかと思いますが、公開準備など本来じっくりと取り組むべき事項です。浮足立って、早期公開ばかりを狙った会社が新興市場であえいでいる事実をよく噛みしめるべきです。誰のために公開するのか、会社を取り巻く多くの関係者を巻き込むのですから、少なくとも道徳心をもったしっかりとした企業理念だけは築いていただきたいものです。