相も変わらず、業績下方修正を伝えるニュースが絶えない。トヨタ自動車は3度目の下方修正で4,000億円の最終損失、日立は7,000億円の最終損失だとのこと。こう赤字のニュースを強調される毎日だと、消費者心理はますます冷え込む一方だ。最近、高速道路がすいていて走りやすい、飲食店はガラガラでせいぜい激安の居酒屋が健闘しているくらい、という話を聞く。確かに、繁華街の飲み屋さんも幾分すいているような気はする。これもみな、マスコミの暗いニュースばかりを吹聴する悪い効果が出ているのではないかと思う。
話は変わり、会計監査の世界ではエンロンやカネボウ事件の後、国際的に監査が厳格に行われるようになった。この、「厳格」という言葉は何が厳格かを考えると、一切の私情を挟まず監査人が負う訴訟リスクを最大限考慮して綿密に監査を行う、ということだと思う。それが株主・投資家保護に繋がる、というのが大義名分だと思うのだが、はたしてそれは本当だろうか?昨今の「厳格な」監査のせいで、監査法人が少しでも会社の経営継続性(ゴーイングコンサーンと言われます)に?をつければ、あっという間に信用不安が広がり、その会社が民事再生などの実質倒産状態に追い込まれることがよくあります。株主投資家が、確かな投資情報を得るために会社の決算書を閲覧する時に、「これは間違いありません」とのお墨付きを与えるのが会計士であり監査法人です。しかし、最近は情報が早く回りすぎて会社の決算書を見るまでもなく監査法人と会社がもめているとか業績の悪化が生じ始めているとかのニュースが会社の信用不安を招き、あっという間の株価の下落をもたらしているような気がします。これでは、監査の厳格化=投資家保護は成り立ちません。なぜなら、投資家が情報をもとに損失を最小限に抑えるのに時間がほとんどないと思われるからです。
となると、監査の厳格化はいったい誰のために行っているのだろう、という疑問が生じます。これについては、内部統制監査に関する書物にもいろいろと書かれていますが、私には今のところどれも完全な説明に巡り合ってはいません。この話は、今後引き続き書き込んでいこうと思っています。