7日(日)日経新聞朝刊の社説にこんな記事がありました。会計監査の質を高めるために、公開会社等に必要とされる会計監査に携わる会計監査人(監査法人または公認会計士)の選任と監査報酬の決定権を監査役に委ねるべきかどうか、論争が起きていると。
現状では、会計監査人の選任は株主総会で行うが候補者をあげて議題を作成するのは取締役会であるため、実質は取締役会が選任と報酬の決定権を有する。監査役は、その議題の同意権ないし拒否権を有しているが、この実効性がないとされ、会計監査人と経営陣との癒着をなくすために今回の論争になっているのだという。
我々の業界団体である日本公認会計士協会は、この論争に対して先月、会計監査人の選任と報酬の決定権を監査役に移すべきだとの提言を発表したとのこと。昨今の会計士に対する風当たりの強さからも、協会は自ら独立性を高める努力をしているとのアピールをした提言だと思われる。
しかし、残念ながらそもそも法律が期待している監査役の権限が、所詮監査役の選任も実のところ経営陣にかなりの決定権があることからほとんど機能していないという問題があるため、このような改革をしたとしてもその実効性は薄いような気がする。
私は、監査というのはやはり、個人個人の問題だと思っている。どれほど法的に制度的にがんじがらめにしたところで、組織的に粉飾決算や法令違反をしようと思えばできてしまうと思う。理想なのかもしれないが、経営者と監視を行う者とが法令順守についての倫理意識を高め、また、互いの信頼関係を意識していい意味での牽制を行うことが企業統治やコンプライアンスに最も有効なのだと思っている。
そのためには、株式公開をして自分だけが大儲けをするために、ただそれだけのために公開を目指すような経営者を、初めから排除する仕組みができらた良いなと思う。経済取引だから利益追求と相反するこんな仕組みは本末転倒?と言われるかもしれませんが、社会貢献のためまじめに経営に取り組んでも失敗してしまった経営者には復活のチャンスを、自分の金儲けのためだけに動く不真面目?な経営者には初めから排除か、法令違反したら厳罰を課す、これが理想なのだと思うが、いかがでしょうか。