福地公認会計士事務所

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公認会計士 福地徳恭

トヨタ問題について

トヨタ自動車の不具合によるリコール問題で、トヨタが大きく揺れているとマスコミ各社で大きく取り上げられて久しい。確かに、レクサス車のフロアマットの不具合に続いて今度はプリウスというトヨタの今後の核となる車のブレーキ不具合問題。品質のトヨタがどうした、というところだろう。しかも、対応が後手に回っているようにもみられ、経営の品質管理についてまでも言及されている。

これら問題について、マスコミ各社の論調は以下の態様である。

  1. 不具合についてドライバーの過失が問題だとして、最初からトヨタ側が真摯な対応をしなかった。つまり、トヨタの誇りが邪魔をした。
  2. プリウス(ハイブリッド車)など最新鋭の車は、さまざまな精密機械や電子機器が絡んでおり、今までの車、という品質管理方法では安全確認が追いつかなかった。
  3. 販売のグローバル化を急いだあまり、経営のグローバル化が追いついていない。
  4. 一度落ちたトヨタ神話の復活は、多分難しい(だろう)。
  5. 日本車以外のメーカーが、このチャンスにトヨタ崩しに一斉に乗りかかっている。日本車全体への影響も甚大だ。

これについて、私は思う。まず、人間が作る機械(製造物)でありしかも人を乗せて公道を走る車である。様々な条件の中で、事故が起きないことの方が不思議である。製造物の不具合か、使用した人間のミスか、これは事故が起きた時にいつも問題となる出来事だと思う。迅速な対応、とはいかなるタイミングの時を言うのだろうか?初めから製造物の不具合を認めるコメントを発するのが迅速な対応だとしたら、メーカーの経営は成り立たないだろう。

どうやら、不具合に関する事故や事件が続いて、あるいはそのような発言や記事がマスコミに出始めて、それがもとで一部の話から国そして全世界へと広がって問題視されたのではないか。今までさほど問題としていなかったユーザーも、マスコミ等で問題と知りそういえばうちの車もおかしかった、と疑惑を持ち始める。それに便乗するように、訴訟好きの弁護士やコメンテーターが扇動していく。トヨタは、全世界的にリコールを宣言せざるを得なくなったのだろう。

確かに、豊田社長自ら記者会見に臨み、プリウスのブレーキはほんの一瞬ある条件のもとでは効きが悪くなることを認めた。不具合は確かにあったのだ。メーカー側のミスを隠すことなく認めることで、真摯な対応の印象付けを狙ったのだと思う。さあ、今後これが吉と出ることを日本人として祈りたいと思うが、アメリカでの公聴会に出席予定の豊田社長がここでもプラスの印象を植え付けられるのかどうか、注目したいと思う。

そして、車という商品が「品質」を差別化要因として世界のトップに躍り出たトヨタの時代が、終りを告げたのでは、とする記事を目にした。つまり、トヨタだけでなく他のメーカーの車も大した差はなく品質は十分であり、今後は品質は当たり前で何を差別化していくのか、それを見出したメーカーが次の車メーカーのトップに躍り出るだろう、ということだった。確かに、車は速く心地よく走ることにはどのメーカーももう十分に条件をクリアしていると思う。時代は変わりつつあり、環境への配慮・高齢化社会に対する対応・省エネへの挑戦等、今までの車でない役割を満たす必要があると思う。研究が進んでいる電気自動車など、家電とも競合してくる分野と言われている。

トップに立った瞬間に、その会社は(人間も)、もう次の時代が始まっていることを悟らなければいけないのかもしれない。

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