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公認会計士 福地徳恭

名古屋市長選は茶番劇か?

おとといの6日、名古屋市長選は河村たかし氏の再選が圧勝にて決まった。愛知知事選も、河村氏に賛同する自民党を離党した民主党とも無関係の無所属大村氏が勝った。そして、名古屋市議会のリコールも市民の賛成多数で決まった。

これに対して、自民党や民主党の要職にある議員らから、「国政に影響は無い」「一地方政治の問題」「河村氏はあめとサーカス、茶番劇だ」などの無視を決め込んだ牽制あるいは批判が行われている。本当に一地方政治の問題なのだろうか、そして、小泉劇場のような茶番だと決め込んで良いのだろうか。私は今回の事件は、今までのケースと同列に考えられるものではないと思っている。

まず、現在のように国政を担っている民主党政権の低支持率と対する最大野党自民党の低迷ぶりは、そのまま次の国政選挙へと間違いなくつながるだろう。すなわち、次は自民党が勝って政権交代が起こる、とは思えない。それを今回の結果が表しているのだ。4月に行われる地方選挙で、同じことが間違いなく起こる。その時には、もう無視や批判を繰り返すことはできないだろう。実際、次の対応に右往左往しているのが現状ではないのか。

続いて、「河村劇場」は「小泉劇場」と同種かあるいは選挙に勝つためだけの茶番劇だったのか?小泉元首相が行ったことと言えば、「自民党をぶっ壊す」と言って自分がいる党を改革の反対分子に仕立てることによって自民党の支持者だけでなく非自民党の支持者からも、「この人なら何かやってくれるのではないか?」と思わせ、多くの支持を集めた。さらに、自身の公約である「郵政民営化」も郵政省=役人である必要はない、という論理で官僚と戦う姿勢が国民の支持を集めた。そして実際、民営化させたことで小泉は約束を守った、ということでそこまでは高い支持率で内閣総理大臣を務めた。

河村氏はどうか、と言えば、確かに「市民税の恒久減税」と「議員の給料を半減」という市民受けする公約を掲げてまた議会を反対分子に仕立てているあたりは、小泉元首相のやり方に似ているかもしれない。しかし、小泉氏が自民党を本当にぶっ壊すことはせず、結局は自民党に高い支持率をもたらして自ら自民党を安定政権にしたのに対して、河村氏は無所属だ。むしろ、議会のリコール活動など市民自体をサポーターにしている点が大きく異なる。そしてそれを、愛知県にさらにはもっと大きな政治改革の渦となるように新たな勢力を巻き起こそうとしているのではないだろうか。つまり、今までの自民党政治や現在の民主党政治では結局何も変わらないことに国民が気付き始めたということだ。決して、河村氏の「減税」という飴だけにつられて動いているわけではないだろう。この動きが、どうして茶番だと言い切れるのか、そして、どうして一地方政治の問題だと楽観できるのだろうか。

小沢一郎が、何は無くとも常に注目を浴びてきた時代から、そろそろ次の新しいリーダーの時代に代わってもらいたいと願う。

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