福地公認会計士事務所

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公認会計士 福地徳恭

震災からの復興の道②

とうとうやってしまった、というか当然のように事は行われた。低レベル放射能汚染水の海への廃棄だ。事前の報道など何もなかったと思うが、いきなり告げられて「もう捨ててしまっていますよ。」という事後報告のみがあった。思い出されるのが、もう10~15年以上前のことだろうか。ロシアの原子力潜水艦だか原発だったか忘れてしまったが、老朽化して処理に困った放射性物質を当時のロシア当局が日本海に廃棄したというニュースが報道された。この時、日本国民すべてが「ロシアという国は何ということをする国か。自国のみで処理できない汚染物を日本海に垂れ流して他国になすりつけるとは。なんという無法者!」と憎しみの念を抱いたに違いなかったはず。それと同じことを、日本があっさりやってしまった。恐ろしいことだ。

問題は、この処理について政治家トップの責任ある会見が開かれず、止むにやまれない措置だったが環境への波及について最小限にとどめるよう日本国を挙げて努力するという管首相の決意表明のようなものが全くなかったことだ。それと、最近枝野長官と岡田幹事長それに担当閣僚の海江田大臣とたまに顔を見せる管首相以外の政治家の顔が全く見えないことが不思議だ。皆どこへ行ってしまったのだろう。災害地の最前線へ行って、俺が何とかしてみせると「パフォーマンス」の一つも見せる政治家が一人もいないのではないか。何故だろうか?大いに疑問である。

それともうひとつ気になるのが、マスコミの報道姿勢だ。震災後2週間くらいはバラエティなどを自粛し、震災関連の報道に集中していた。しかし最近、すっかり元の番組に戻ってしまった。多少戻るのは仕方ないかもしれない、民放だから広告収入も必要だろう。しかし、原発による放射能汚染は日本の最大の問題であり全世界が注目している問題でもある。そして最初に書いた、放射能汚染水を海水に流すというとんでもないことを行ったにもかかわらず、民放各局は「流しました。」「汚染による濃度は○○ベクレルです。海流により拡がるので、汚染の濃度は薄められるので人体への影響も問題ないレベルになるでしょう。」と政府?から発表される事柄だけをそのまま伝えている感じだ。

これについて議論されなければならない、報道されなければならないことが私は3つあると思う。

  • 何故流さなければならなくなったのか。他の選択肢が無かったのか、何故それらを選択できなかったのか、その検証。最終決断者は誰か?
  • 低レベル放射能汚染水の垂れ流しによる環境汚染について。本当に低レベルならば薄められて問題なくなるのか?誰がそれを検証しているのか、していないのか。
  • 原発周辺(どのくらいのあたりまで?)の漁業への影響の有無。そしてどのあたりまでといつまで影響を受けるのか。

上記について、今のところほとんど報道されていない。そして結局、北茨城漁協で水揚げされた「こうなご」から高レベルの放射性物質が見つかった、と発表された。冗談じゃない、報道で言われていることと違っているじゃないか、大して薄まっていないぞ、と。これでは、この問題に対してますます不安が広がるだけである。水・野菜・魚・大気と次々に広がる放射能汚染。

私は、特に民放各社にお願いしたい。震災各地の現状を伝えることは良い。しかし、くだらないバラエティやドラマを放送している暇があったら、これら原発と放射能の問題について、正しい情報を伝えることと今までの処置の検証をしっかり報道してもらいたい。また、国民全体でこの問題を共有できるように各地の一般人も呼んで、有識者(芸能人はいらない)と共にディスカッションするような番組も組んでもらいたいと思う。原発処理の問題は、数か月ではなくて数年かかる見込みのようだ。情報過多による放射能問題の慣れはまずい。今こそ、原発と放射能への正しい知識を学ぶこと、そしてこの問題の解決に向けて全国民がしっかりと向き合うことが必要だと思う。

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