福地公認会計士事務所

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公認会計士 福地徳恭

最近読んだ本の中で

ようやく秋が来ました。気持ち良い空気に、ほっとした気持ちがします。今年もやっぱり暑い夏でしたね。さて、今日は本の話題について、私見を書きます。

もう3か月以上前に読んだ本ですが、久しぶりに「これは良い本だ」と思ったのが見城徹さんと藤田晋さんとの共著「憂鬱でなければ仕事じゃない(講談社)」です。もう読んだ方も多いかと思いますが、今までの自己啓発的な生き方や仕事への向き方の本は、どちらかというとつらくて嫌で大変な仕事等をいかに楽しく前向きにとらえるか、という視点で書かれていたと思います。しかし、この本は仕事はそもそも憂鬱であり憂鬱であるからこそ仕事だ、と全く逆の視点で書かれている点が面白いと思います。

幻冬舎の社長である見城氏は、毎朝手帳を見て、やらなければならない憂鬱な仕事が3つ以上記載されていないと落ち着かない、とまで言い切っています。私が思うに、どんなに憂鬱でいやな仕事をどんどん片づけていこうとも、次にまたそれ以上に憂鬱で大変な仕事が舞い込んでくる、だからこそ、いやな仕事から逃げずに取り組み続けなければならないし、いやな仕事がなくなったならばその状態こそが実は会社にとって危険なのだと。仕事というものは、平和な状態などあり得ないのだ、ということをおっしゃられているのではないかと思います。凡人には、そうは言ってもできるだけ平和な状態が続く方が良いし、憂鬱状態を継続するなんて耐えられない、見城さんはマゾなのか?とでも思いたくなる話です。

何はともあれ、仕事を前向きにとらえ少しでも楽しくやれるように取り組み方を記載している本が多い中で、仕事は苦しいだからこそ人一倍努力し気を配り大変な仕事をやりこなし続けてこそ、成功を掴めるのだ、という正攻法的なこの本こそこの時代に改めて新風を感じさせる、日本人へのバイブル的著作だと思います。私は大変感動したので、会う度に他人へ薦めていて私の周りにもこの本の読者がどんどん増えています。「成功したかったらパーティーには出るな!」「渡せなかった名刺は速達で送れ」「会議室に通されて待っている間は立っていろ(立って人をお迎えするべき)」「人へは100回貸しを作ってから1回お願いしろ」など、心に残る名フレーズばかりです。

さて、もう一冊あげさせていただくと、経済産業省の現役役人古賀茂明氏の「日本中枢の崩壊(講談社)」です。彼は、現役官僚として公務員改革の身内からの切り込み隊長として渡辺喜美氏(当時の公務員改革担当大臣で現みんなの党代表)にから指名され、その後もほとんどの官僚を敵に回して公務員改革及び現政権批判を訴えていらっしゃいます。本を読んでも映像を見ても彼の論理は正論だと思えますし、今の日本を良い方向に変えていかなければならないという男気を感じます。しかし、ついに残念ながら今月で退官を余儀なくされるようです。

もっとも、これほどまともな主張に対して政府も官僚も彼とまともな議論をすることなく握りつぶそうとするしかないわけですから、もっと早く外へ出るべきだったのではないかと思います。さて、彼の本の中でなるほどなあ、と思ったのが「官邸主導の政治を試みようとした民主党は、官僚を完全に排除して政府だけで何でも決めて実行しようとしたのは間違いで、官僚を使わず政治を行うことは無理であり、それに必要なことは、権限のみを政府官邸にすべて移しその元で官僚をうまく使いこなすことこそが官邸主導の政治である。」と。確かに、鳩山旧政権は官邸主導をはき違えてしまい、やろうとしたことをうまくできずに失敗し、続く管旧政権でやっぱり元に戻そうということで自民党時代と同じ官僚主導の政治に戻ってしまったわけです。

古賀さんには、今後どのようなご活躍をなされようとしているのかわかりませんが、いずれ必ず来るだろう日本の政治の機能マヒの時に、万を期して日本のために日の目舞台に登場していただきたいと思います。

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