福地公認会計士事務所

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公認会計士 福地徳恭

何故消費税増税なのか?今一度、よく考えよう。

野田政権は、どうしても消費税増税を成し遂げたいようだ。野田氏は民主党代表選に出馬した時点で、明らかに増税論者だった。だから、信念を貫いているといえばその通りで、その点は評価されても良いかもしれない。問題は、税と社会保障の一体改革といいながら、社会保障の改革についてほとんど具体的な提言がなされていないことではないか。増税だけになぜこれだけ突っ走る必要があるのか。考えられる理由は、以下のどれかだろう。

① 日本の国家財政は破たん寸前で、今すぐ増税に舵を切らないと大変なことになる。

② 日本の現行の社会保障制度は破たんしており、このまま維持するためにお金がいくらかかるかわからないので、その道筋を国民の前に示せない。あるいは、示せば今までの施策や試算がものすごくいい加減だったことが暴露されてしまうので、出せない。

③ 消費税増税の理由は、実は他にある。日本の財政が破たんしそうだから行うのではない。

①や②は、テレビや新聞・書籍などでいろいろと報道紹介されていると思われるので、よく御存じのことと思う。経済学者などがよく、テレビで「消費税を何パーセントあげれば社会保障が賄われていくのか、それをきちんと提示しないから国民はどれだけ増税されるのかわからずに不安になる。だから、政治家がきちんとそれを提示すべきではないか。」そんなセリフを何度か聞いたことがあるだろう。

しかし、そんな進言もむなしく、国会や予算委員会での政治家の答弁でこのようなことを理路整然と堂々と議論しているのを聞いたことがない。ただ単に、政権公約だから消費税増税はおかしい、とか、政権を取った後の経済情勢で公約が変わることもある、といった形式論や表面論ばかりだ。私にはやはり、今回消費税を今後段階的にあげていくためには、何故、どうしてどれだけの増税が必要か、いくら足りなくなるのか、野田政権をはじめ政治家の具体的な説明がどうしても必要だと思う。それがない限り、野田政権も結局短命に終わることになると思う。

さて、①②はさておき、③のような国民には明かせない秘密の必要性があるとしたら、どうだろう。たとえば、AIJ事件のように、日本が持っているはずの債権・資産が実はある理由で無くなってしまっている、だからその穴埋めのために当座の資金が至急必要だ、なんてことはありはしないか。皆さんもよくご存じのように、日本国民の金融資産は1,400兆円とか言われて久しい。そのあるはずの資産のおかげで、国債などの日本国の借金が1,000兆円くらいあっても日本がデフォルトに陥らない理由の根拠らしい。しかし、その1,400兆円あるというのは机上の数字であり、本当に1,400兆円の価値ある資産が保有されているのだろうか?日本国債以外のわけのわからない債権に化けて価値が無くなってはいないか。あるいは、どこかにお金が注ぎ込まれてしまい戻ってこないものとなっているのではないか。つまり、日本国民が知らない簿外債務や債権の運用不明があるのではないか。そんなことも疑ってしまう。

消費税増税、今回の増税はなぜ必要ですか?何のためにいくら使う必要がある、だから増税だと、この明確な説明に対する国民の理解なしに、増税に賛成するわけにはいかないと私は強く思う。

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