私は会計士であり、仕事柄日本経済新聞を購読している。といいますか、会計業界人としてそれは当然のことだと思うし思われてもいるだろう。しかし、読んでいて本当にここ最近の記事は面白くない。それは、特に政治面の部分だ。なぜ、これほど体制サイドに偏った報道ばかりなのだろうか。賢明な皆さんは、すでに他の新聞を含めほとんどのマスコミが今の野田政権や前であれば管政権に表立った批判を繰り広げることなく、容認する姿勢を示していることに気づかれていると思う。
以前であれば、新聞はそれなりにどっち向きという多少の違いはあったと思う(今となっては気のせいだったかもしれないが)。日経新聞はその名の通り経済面で特色があり、政治面では中立的な立場で紙面を作っていたと思っていた。ところが、ここ最近の日経はただの政権与党の太鼓持ち的な記事ばかりだ。言うまでもなく、新党小沢の批判と不人気ぶりの宣伝の繰り返しばかりだ。その対極である、民主党残党与党の批判やマニフェスト違反についての責任問題、野田首相自身への政権運営(自らを捨てて野党の自民公明との連携)への批判はほとんど無いと言ってよいだろう。何故だ???
意外と驚くことに、私の周りの方々へこのような話をした反応が、「それでも、消費税の増税はやるべきだ。いつまでも決められない政治よりもましなのでは?」という野田政権の消費増税の賛成者が結構いることだ。「決められない政治」よりもましだから、と。本当にそうですか?2009年に我々国民が民主党に期待して政権を託したことのうち、今野田政権が行おうとしていることの中で一つでもあてはまるものがあるだろうか。増税よりもまず無駄を省き、官僚主導の政治から国民主導の政治への転換、自民党政治への決別、地方分権、沖縄の米軍基地問題など、これらが国民が民主党に期待して任せたことではなかろうか。
政治を行っているうちに状況は変わる。だからマニュフェストから外れることもありうる。このようなことをさも論理的だと言わんばかりに野田首相は主張しているし、その主張を大手新聞各社も肯定的に記載する。そうですか?上記のうち、一つでも野田政権がやっていることがあるだろうか。すべてNOである。マニュフェストをすべてひっくり返している今の状況は、政権だけ取った後、マニュフェストを実行しようとする者から造反者が党内部でクーデターを起こし党中枢を奪い取り、権力の甘い蜜のもと裏切り者たちが今の民主党の仮面をかぶったように見える。そして、それは私にはよく分からない見えない強大な権力者たちの手と合体して、国民が望まない政治を行っているとしか思えない。 それは、偽りの政権与党である。
今は政局をやっている時ではない、と野田首相は言う。また、被災地を映し「政局ばかりで、小沢さんは被災民の気持ちが分からない。」などと、小沢批判のために都合の良い報道ばかりをマスコミ各社は行っている。確かに選挙に時間と金はかかる。しかし、国民無視の政治を続ける以上、野田政権は間違いなく追い込まれ政局となるのは時間の問題ではないのか。そして、今の異常な政治状態を一刻も早く打破すべきだという賢明な国民が増えることを望みたい。