昨日の石原都知事辞任と新党結成国政への進出記者会見には驚かされた。何が驚かされたかというと、辞任や国政への進出の話ではない。「公認会計士」という言葉が3度も口から出たことだ。
記者会見で石原氏は言った、「この国や地方自治体の会計制度は相当遅れている。複式簿記になっていない。適正な財務諸表が無い。北朝鮮やミャンマー並のレベルだ。国等にきちんとした会計を取り入れて、監査のプロの公認会計士による会計監査を導入するべきだ。私の東京都は、中地という当時の公認会計士協会の会長の事務所に頼んで、公認会計士監査を私が都知事になって導入した。それで、ずいぶんと財政状態が良くなった。皆も、会社に投資しようというときには会社の財務諸表を見るでしょう。ところが、国に財務諸表というものがない。だから、国の財政状態がどうなっているのかみんな知ることができない。なぜ、きちんとした会計制度のもとに財務諸表を作ろうとしないのか、早く作って公認会計士による監査を導入したらいい。」
以上は、私がたまたま記者会見を聞いた部分の一節だが(多少ニュアンスは間違っているかもしれないが)、このとおり、公認会計士という言葉が連発された。都知事辞任と新党結成・国政進出宣言をした記者会見で、まさか我々の業界の資格名がこれほど主張されようとは思わなかった。日本公認会計士協会の幹部は、この会見をどのように受け止めたのだろうか。
私見として、政治家のパフォーマンスがあるとはいえこのような場で我々業界の話が大いに語られたことは、大変良いことだと思う。そして、だからこそその反響として我々業界に生きる資格者たちはその重みをしっかりと受け止め、より社会に役立つ仕事を担う覚悟をしなければならないと思う。それにしても、今回のこと(国の財務諸表を作成するサポートをすること・監査すること)は、国政に関わる仕事になるわけであり、現政権が行った事業仕訳にも公認会計士が何名か携わっていたことからも、我々業界は、国政がらみの仕事も今後ますます背負っていかなければならないのかもしれない。何はともあれ、今回の騒動に誇張された「公認会計士」、それに一番驚かされたのはわが業界人だろう。