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公認会計士 福地徳恭

日本という国は変わることができないのか

先週だったか先々週だったか、NHKの番組でなぜ第二次世界大戦からの終戦(敗戦)が遅れたか、についての報道番組を見る機会があった。昭和20年の戦況はひどい有様で、とても戦争を継続できる状況になかったようだ。3月10日の東京大空襲で東京は焼け野原となり、戦地の軍隊もほとんど戦える状態になく、連合軍は日本の戦後処理について話し合いを進めていたので、日本の最後の閣僚たち(天皇を含んだ軍事政権のボード)は何度かロシアを介して戦争の終結と降伏を申し入れようとしたものの、会議を繰り返すのみで海軍や陸軍のトップは最後まで内輪の見栄や体裁を優先して戦争の終結を図るタイミングを失ってしまった、ということが映像から映し出されていた。結果、沖縄戦の20万人を超える犠牲者、広島・長崎の原子爆弾投下による30万人を超える犠牲者、その他、戦争継続がもたらした犠牲者の数はおびただしく増加した。真相は不明だが、この番組からは天皇自らが戦争の終結方向を模索したが、軍隊のトップから天皇に対して軍隊の脆弱化という真実が語られることはなかったという。トップ自らが自己犠牲の決断をしていれば、これほどひどい結末にはならなかったのではないだろうか。

そして私は思った。この戦争の悲劇は今も続いていると。福島原発事故に関して、国が行っていることは戦争の終結処理と同じではないのかと。大震災直後、福島原発が電源を喪失して冷却機能を失った。そして大爆発を繰り返したおかげで大量の放射能が飛び散り、福島県をはじめ東日本のほとんどが放射能で汚染されたというのは事実である。その中でも特に、福島原発周辺半径50km以内の地域は爆発直後に高濃度で汚染されたようだ。この時政府の発表は、「建屋が水素爆発しただけで原子炉格納容器は壊れていない。避難する必要はない。」として周辺住民を避難させる措置は取らなかった。ところが、実際は格納容器は壊れて穴が開いており、大量の放射能が放出されたのだ。これを首相官邸は本当に知らなかったのか、あるいは、東京電力から真実が報告されることがなく、避難勧告措置が遅れたのか。最近の報道から、東京電力がありとあらゆる情報を隠ぺいしていたことがますます明らかになってきた。

今も、居住制限地域が指定されているがその範囲は狭められてきている。しかし、原発の冷温停止などは原子炉格納容器に穴が開いていてありえないというのが反原発の専門家の意見だ。私はそれを信じるし、そうであれば今も放射能は相変わらず空中に海中に放出され続けているということだ。だから、居住制限地域はもちろんのこと、福島市や郡山市の新聞報道でのモニタリングポストの空間線量は今も高いままなのではないのか。私は以前、世界基準での放射線被ばく許容量が年間1㎜シーベルトなのだから、それを時間換算した0.1μシーベルト/h以上の線量地域には住むべきでないとこのブログで書いた。残念ながら、福島市や郡山市の線量はこの基準を今も超えていると思われるので、特に子供たちには移住をしてもらいたいと思っている。なぜなら、この国のトップや原発稼働に賛成の電力会社や御用学者・そして財界の人たちは、戦争終結の時と同じように何も非のない国民に平気でうそを言い真実を語ろうとしないからだ。そういう国民住民がこのまま高い被曝を受け続け、健康被害に遭っても闇に葬り去られる図式がこのままでは見えてしまう。

やっぱりこの国は、変わることができないのか。ポツダム宣言を受け入れた当時の日本のまま、何も変わることができないこの国の体質がやがて、この国すべてを滅ぼす時が近づいているとさえ思う、今日この頃だ。

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