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公認会計士 福地徳恭

福島第一原発吉田所長の死について想う

吉田所長さんが亡くなった。この方は、東日本大震災で福島第一原発が危機に陥った時に、現場で陣頭指揮をとられた方であることは、皆様よくご存じのことだと思う。ニュースやNHKのドキュメンタリーなどでも報じられたと思うが、我々庶民にはとても想像のできない過酷な状況の中でのリーダーだったことが推測できる方だった。ご冥福をお祈りしたい。

しかし、私が言いたいことはそんな単なる伝え聞いた涙話ではない。吉田所長のことは多くの真相は謎に包まれたままだ。ただし、報道を信用できない善良な日本国民は、吉田所長がほかの誰よりもリスクに直面し自らが現場の処理に当たって犠牲になっただろうということを理解しているのだと思う。彼は、自分はさておき、周りの同僚の死の犠牲を避けるため当時の原発従事者すべての撤退を首相官邸に求めたことはすでに明らかにされている。それを、当時の管首相は退けたのだ。東電にすべての責任を押し付けて。それから、彼はすべての困難を自らの犠牲と責任の下で処理されたのだと思う。

そして、本日58歳の生涯を閉じた。原発事故の被曝の影響の可能性はほとんど低い、という冷酷な報道を身にまとわされ。本人及びご遺族の方の無念さは如何に…。

もちろん、死因が原発事故でないという報道に対し私は嘘だ、と反論したところで、それではあなたは何の根拠をもとに原発事故が原因だというのですか?と問われれば、私には今のところ反論できるものはありません。だから、あなたの気持ちはわかりますが単なる思い入れですよ、と言われてしまえばそれに返す言葉はない。しかし、原発事故という日本初めての経験について具体的な証拠を、といわれても、それが様々な検証結果や研究をもとに証明されるのは、少なくとも、30年以上という今生きている人にとってあまり意味のない先の話になるのではないだろうか。なぜならば、最近知ったのだが広島や長崎の原爆の人体への影響について原爆被投下国である日本はその検証について一切アメリカから禁じられていたという。おそらく、投下国であるアメリカのみが検証データを持っているのである。

だからこそ、福島原発で長い間勤務され、原発がいかなるものかを一番知っていてそして今回の事故の甚大な危険性を現場でじかに感じていた吉田所長が、自ら体を張って危機に対応していた。そして、多量の被ばくをして体調を崩され命を落とされたと想像するのが、自然の理解だと思うのが何が思い込みだと言えるのだろうか。

吉田所長は男の中の男であったと思いたい。誰も助けてくれない、自らの職域の中で自ら悟り自ら命を捨てて職務を果たし日本国民を救った、そう思わざるを得ない。私は、だからこそ、単に吉田所長の冥福を祈るなんていうつまらない締めくくりにしたくはない。彼は、自身による原発事故の検証結果を本に残すべく執筆を行っていたらしい。しかし、体調不良のため出版にこぎつけることができなかったという。それは本当だろうか?原発推進派が、彼の出版を邪魔したということはありえないだろうか?彼の検証データ他が、彼の善意の同僚たちによって日の目を見る日を切に期待して今日は筆を終える。

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