私はかねてから、TPPには反対である。反対の第1の理由が、秘密協議であり何を議論しているかさっぱりわからないからだ。そして、合意したにもかかわらず、合意された文書のすべてが日本語で公表されていないことである。噂では、合意文書は1,000頁にも及ぶものであり、先日ようやく英語の文書がすべてニュージーランド政府によって公表されたらしい。それを報じる日本の新聞記事は見た記憶はないが。
日本は不思議な国である。そもそもTPPは関係当事国会議で合意された事項を持ち帰って、各国の議会で承認されなければ正式に発効されないことになっていると聞く。ところが、合意されたとなったとたんに、企業・マスコミがTPPが始まるぞ、という方向に向いている。一方で、臨時国会が開かれずにいるというのに。いったい、何がどのように合意されそれが日本の法律や経済にどのような影響を及ぼすのかという議論がなされなければならないはずなのに、である。まずは、国会議員(特に野党議員)がその英文の合意文書すべてを日本語に翻訳し、国民に開示すべきである。そして、国会の場でTPPを先導してきた与党に対して徹底的に質問・議論してもらわなければならない。ところが、そんな雰囲気は全くなさそうである。
さらにネット上で知ったことであるが、アメリカホワイトハウスのHPでアメリカとしてのTPPの趣旨が記載されているそうであるが、その内容は、アメリカ国民にとって今までの貿易上の不利益をすべて利益となるように改善し、アメリカの雇用を増大させ国富も増大させることがTPPの目的であると宣伝されているらしい。その主張は、アメリカの利益のためのTPPであり、貿易自由化による参加国全体の利益最大化を目指すはずのものとは異なっている。もしそれが実質的にもそうであれば、日本はそんな協定にもろ手を挙げて参加を表明してよいのだろうか?
そして、そんなアメリカであるが故に?次期大統領候補の民主党クリントン氏は、このTPPに反対を表明している。アメリカ議会でも、現状のTPPには反対すべきであるという論調が増えていると聞く。おそらく、現状の合意内容ではアメリカ国富最大化という目標には合致していない、ということではないだろうか。めちゃくちゃな話ではないか。
だからこそ、私はTPPなどアメリカ大統領選とともに漂流して消え去ってもらいたい、と願っている。今まで守ってきた国民の大切な利益が、ISD条項という理不尽な国際協定によって一部の巨大企業群にむさぼられてしまっては、誰のための国家かということになってしまう。